ブルブル!人はなぜ寒さを感じるのか


人はなぜ寒さを感じるのか「寒い」という感覚は、冬や気温の低い場所に行くと誰しもが感じる、当たり前の感覚です。

しかし、人はなぜ寒さを感じるのでしょうか。改めて、当たり前の感覚について疑問を持てば、その理由を知らないことに気がつきます。

それでは、人が寒さを感じてしまう理由について、様々な方面から解説いたします。

なるほど納得「寒い!」のメカニズム

人が寒いと感じてしまう原因は何?

寒さを感じる理由を考える前提として、人間は恒温動物であることを踏まえる必要があります。恒温動物とは、一定の体温を保って生きる動物のことです。人間は恒温動物の一種であるため、個人差はありますが、体温は36.5度前後の一定の範囲で安定している必要があります。

しかし、外気温が低いと、恒温動物である人間の体温は低下します。そして長時間寒い環境に晒されると、適正な範囲の体温を維持できなくなります。そのため、体温を下げないために、気温の低さを感じれば寒いと感じるような人体の仕組みになっているのです。

このことから、寒さは人間における体温調節の防衛本能の表れだと言えるでしょう。

また、人間の祖先はアフリカという温帯地域から進化した、歴史的背景もあります。そのため、人間は暑さよりも寒さの方を敏感に感じてしまう性質もあるのです。

なぜ寒いと鳥肌が立ってしまうの?

私たち人間が寒さを感じると、反射的に鳥肌が立つことがあります。実はこの鳥肌が立つ生理現象は、人間が動物であったころの名残です。

人間と同じ恒温動物の犬や猫は、気温が低くなると毛を逆立てる性質があります。これは、毛を立ててそこに空気の層を作り出すことで、体温が下がるのを防ぐような仕組みです。ちょうど天然のダウンジャケットを作り出しているとイメージすれば、理解しやすいと思います。

寒さを感じれば鳥肌が立つのは、他の恒温動物達が体温を低下を防ぐ上で行っていた毛を逆立てる現象と同じものです。しかし、人間には体温を温存できるだけの体毛がありませんから、結果として鳥肌が立つ現象だけが残った形となっています。

人によって寒さの感じ方に違いがあるのはどうして?

人は寒さに慣れる性質を持つ

北海道で暮らしている人と、沖縄で暮らしている人、この二者は寒さへの耐性に大きな開きがあります。それは、沖縄のような暖かい地域で暮らしている人に比べて、北海道で過ごしている人の方が寒さに慣れているからです。

つまりそれは、人は寒さに慣れる性質を持っていることの証明となります。

これは単純に、寒さへの感覚に慣れが生じているだけではありません。寒い地域で長く過ごすと、熱を放出する役割の汗が出る汗腺の量が少なくなったり、寒さに対抗する甲状腺ホルモンやアドレナリンのホルモンが分泌されやすくなったりします。

人は環境に適応する能力に優れている面があるため、上記のような適応への体質変化が生じます。そのため、寒い地域で暮らしている人の場合、暖かい地域で暮らしている人と比べて寒さを感じにくいという体質の差が生まれるのです。

このサイトでは、寒さと風邪の関係についても考察しています。詳しく知りたい方は、「寒いと風邪をひく」これってホント?をご覧ください。

体型や年齢によっても、寒さの感じ方は大きく変わる

寒さの感じ方に違いが出るのは、寒い環境への体質の適応だけではありません。年齢や体型によっても、寒さの感じ方には大きな変化が出てきます。

一般的に、筋肉量が多い人は寒さを感じにくいとされています。これは、筋肉が代謝によって熱を発するからであり、筋肉量が多いとその代謝の量も多くなって体が体温を保てるからです。同時に、筋肉量はなくとも基礎代謝の高い子供などは、寒さを感じにくい傾向にあります。

また、皮下脂肪の多い人も寒さを感じにくいです。皮下脂肪は熱伝導率がそれほど高くないため、体内でできた熱が内にこもるようになります。ですので、皮下脂肪が多いほどに寒さは感じにくいことになるのです。

上記のことを例えてみると、筋肉質で皮下脂肪も付いている方は寒さを感じにくく、逆に高齢で基礎代謝がなく痩せ体型の方は寒さを感じやすいということになります。

このように、同じ低い気温であったとしても、体型や年齢などによって寒さの感じ方は違ってきます。

まとめ

当たり前であると思っている寒いという感覚。その原因や理由について科学的に切り込んで見ると、意外な真実や、その感じ方の違いがあるのはとても興味深いことです。

そしてなぜ寒いと感じるのかが分かることによって、寒さという苦痛への対策も色々と浮かんでくるでしょう。この知識を参考にして、自分なりの寒さ回避方法などを編み出していただければと思います。