「寒いと風邪をひく」これってホント?


「寒いと風邪をひく」これってホント冬になると、寒くなると同時に、風邪をひきやすくなるイメージはありませんか?事実、冬は風邪などが流行するのは事実です。そのため、寒さが風邪の直接的な原因になっていると考えてしまうのも無理はありません。

しかし、本当に寒いと風邪をひくのは事実なのでしょうか。その通説は真実か否か、検証していきたいと思います。

風邪の原因は「寒さ」ではない

風邪の直接的な原因は、実は微生物だった

単刀直入に、結論から言います。実は、風邪の直接的な原因は、寒さではありません。そして微生物が体に感染することによって、風邪の症状を作り出すことが本当の原因です。

定義上、私たちが「風邪」と捉えている病気はありません。上気道に細菌やウィルスが感染し、熱や咳、鼻水が出る症状を総合的に「風邪」と捉えているだけなのです。そのため、一般的な風邪とされる症状は「風邪症候群」と定義されています。

風邪を引き起こすのは、80%から90%がウィルスであり、残りは細菌が原因となっています。そのため、風邪は寒さではないのです。

なお、風邪を引き起こすウィルスとして有名なのは、ラノウィルス、コロナウィルスです。このウィルスの他にも、様々な風邪症状を引き起こすウィルスが私たちの周りには存在しています。また、風邪症状を出す細菌としては、マイコプラズマが危険な種類であると有名です。

冬になると風邪をひきやすくなるのはなぜ?

寒さが風邪の直接的な原因ではないとわかりました。しかし、寒くなる時期である冬になると、風邪をひきやすくなるのは事実です。これはなぜなのでしょうか。

冬になると風邪をひきやすいのは、冬が上記に説明した微生物が感染しやすい環境を作ることが大きな理由です。

その理由として、冬は気温が低く、空気が乾燥をする点が挙げられます。風邪を起こす主要なウィルスは、低い気温で湿度が低いと空気中で傾向があります。そのため、冬の低温・乾燥の気候が、風邪ウィルスの感染をしやすい状況を作り出しているのです。

また、冬のウィルスが感染しやすい状況で、人が密集する場所に行くと更に感染リスクは高まります。これは風邪のウィルスが、人を媒介とすることが多いからです。冬はクリスマスや初詣、その他様々な人が多く集まるイベントが多いです。この点も、冬は風邪をひきやすい傾向にあると考えられるでしょう。

寒いと風邪をひきやすくなるのは事実!

寒さが免疫に影響を与えて風邪をひきやすくさせる

風邪の直接的な原因が、寒さではなくウィルスなどの細菌であることをお伝えしました。しかし、寒さは風邪を助長して、ひきやすくさせるのは事実です。

寒さが風邪をひきやすくさせる理由は、寒さが人体の免疫力に影響を与える点が挙げられます。

私たちの体には、免疫力が備わっています。しかし、その免疫力は体温が低下するごとに、その力も低くなってくるのです。寒さは体温を下げていきますので、寒いと免疫力が低下することにも繋がります。

この自己免疫機能が十分な働きをしてくれれば、ウィルスに感染しても体内からそれを排除してくれます。しかし、寒さによって自己免疫機能の力を弱められると、感染したウィルスが体で悪さを働くようになるのです。

なお、ブルブル!人はなぜ寒さを感じるのかの記事では、人と寒さの感覚について考察しています。ぜひ御覧ください。

自律神経の不調も風邪を助長させる要素

人間には交感神経と副交感神経という、二つの自律神経が存在してます。そして、冬は交感神経が優位になります。しかし、交換神経が優位になると、リンパ球などの自己免疫の活動が低下することが知られています。

交感神経が優位になっている状態で、寒い環境の影響で体温が低下すると、著しく免疫力が低下します。これがもう一つの、冬に風邪が流行りやすい原因です。また、冬になったばかりの時は、季節の変わり目から自律神経の働きが不安定になるのも、風邪をひきやすい大きな要素でしょう。

交感神経は緊張時、副交感神経はリラックス時に優位になるとされています。免疫力を高めるためには、リラックスをこころがけることも大切です。

まとめ

以上のことから、寒いと風邪をひきやすいという知識は、厳密に言えば間違いでした。しかし、ウィルスなどによる風邪症状を起こさないためには、寒さへの対策は必須です。

冬などは、自己免疫力を低下させたり、自律神経の働きを乱したりしないように心がけましょう。そうすれば、寒くても風邪を引かずに、健康に過ごすことが可能です。